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イタリアから彩りの風便り


by ayakaze0109

不思議の街ドバイ

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新しいものと古いもの。
あらゆる文化と人種。
時間も国籍も何もかもがぐちゃぐちゃに入り交じる。

そんな不思議の街 ドバイ。



朝8時。空港から一歩外に出るとむわんっとした外気が体にまとわりつく。
アツい・・・。とにかく暑い!

トランジットを利用したドバイプチ観光。
プチだから、出発前日にお会いしたHさんに聞いたオールドスークと言われる布の市場と、
ドバイの歴史がわかるというドバイ博物館にしか行くつもりはなかったのだが・・・。

タクシーで行くのが早いという情報を受けて、タクシーに乗る。
しかし久しぶりの海外ですっかり気が抜けていた。
タクシーの運転手はジアードと名乗る兄ちゃん。
「ドバイ博物館は10時からしか開かないから、7つ星ホテルを見にいったらどうだい?」
いくらくらいになるのか聞くと、「メーター次第」との回答。
ドバイ、そんな広いわけでもないでしょ、とOKしてしまった。

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空港から混雑した道を走ると、乱立するアートな、というか奇妙な形をしたビル群。
その中にひと際高いタワー。ジアードによると世界一の860メートルの高さだという。
数字を聞いてもよくわからないが、とにかく高いという事はわかる。カメラに収まらない。
シリアから移住してきたというジアードの観光案内はなかなかツボを得ていて、
ビジネス街でもあるあたらしい地区は、10年前までなにもなかったとか、
85%が移民で200の国籍を持つ人たちが暮らしているとか、
冬は気温26度ほどと過ごしやすいが、夏は50度以上になり道も歩けないほどだとか、
そういう事をいろいろと教えてくれる。
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そうこうしているうちに、世界の7つ星ホテルブルジュ・アル・アラブに到着。といっても中に入れる訳ではない。
しっかり屈強な門番がホテルの遥か手前に立って立ち入りを制限している模様。
1泊10万円以上というとんでもホテル。1度でいいから自分のお金じゃなく泊まってみたいものである。
その後もたくさんのきらびやかなホテルの前を通りすぎる。
この国には400以上の☆なしから7つまでと様々だそうだ。

しかしこの時メーターは結構な金額を差していた。
まだこの時はこちらのものの相場がわかっていなかったのだが、
最終的に空港近くにあるドバイ博物館に戻った時には、5000円分両替したお金を使い果たしてしまった。
これは後で考えると結構な額だった。
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ドバイは私の大好きなデーツ(ナツメヤシの実)やサフランやカルダモンなどのスパイス、アラビアンな雑貨が豊富で、
これらの値段から考えると、いきなり贅沢をしてしまったと後悔。
まぁ、いろいろ勉強になったしそれも含めた代金だと思う事にした。

さて、ドバイ博物館に行くには、川をわたって反対側にわたらないといけない。
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この渡し舟に乗って、対岸にいくのだが、地元の人と混じってオープンな渡し船に乗っていると異国感が急に増してきた。
慣れ親しんだヨーロッパというよりも、過去行ったタイなどの東南アジアを思い出したのだ。
気温は40度を越してきたらしい。ぬるりと光を反射する水面をすべるとは言いがたい船だがたった1ディラハム(=約24円)。
さっきのタクシーに比べれば激安だ(ひっぱっている)。

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ドバイ博物館に行く前に、なぜかきらびやかなマーケットに迷い込んでしまった。
甘いジャスミンの花のにおい。香りではなくにおいという方がしっくりくる。
ハワイのレイみたいに、輪になっているものもある。
何に使うものか気になって、店員さんに聞いてみると「祈りの時に使うんだ」と。
「祈り?」「そう、ちょっといくとお寺があるよ」
ふっと横をみると裸足で脇をかけぬけていく人々。先をいくと靴を脱ぐ場所まである。
「私も入ってもいいの?」と聞くと、周りの人はいいよいいよ、と行ってくれたので、靴を脱ぎ人の列に続いた。

そして入って気づいた。
「インドのお寺やん・・・」

そう、そこはヒンドゥー教のお寺で、ペッカペカの電飾が飾られインディアンミュージックがかかっていた。
勝手にアラビア圏内だからイスラム教だと思い込んでいたのだ。
イスラム寺院にしては派手やしオープンマインドやな、って思ってたら、なんて事はないインドのお寺だった。
そして、何やら偉い人の所にいくっぽいときには、オレンジ色の布を頭に巻き付けられ、よくわからないままにお参りをしてきた。
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面白かったので記念撮影。すごい荷物だ。
そうそう、写真を中でとってもいいよと言われたけど、皆さん真剣にお参りされているのでとりませんでした。
まぁ流儀もわからず侵入してしまった時点で、失礼だと思うのだけど。
そして最後までよくわからないままに、甘いココナッツミルクとビーフンを煮込んだようなスィーツをいただき寺院を後にした。
後で調べると国民の多くがインフラ整備の仕事を求めて移住してきたインド系住民がたくさんいるそうだ。なるほど。

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大通りに抜けてふと横を見ると、そこはまぎれもないイスラム寺院だった。
いろんな文化が溶け合う事なく存在している、そんな感じだった。
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そしてやっとのことでドバイ博物館へ。
ここはドバイの歴史がベドゥインからはじまり、たったこの50年の間に大きく変貌した事がよくわかる博物館だ。
石油に頼る経済はいずれ終わりがくると考えたドバイの人たちは、
ドバイを観光都市にしようと、世界一の塔、噴水、ホテル、砂漠の中のスキー場、水族館など誰もが驚かずにはいられない、ちょっと私にはクレイジーとも思える街づくりを進めてきたのだ。
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そしてこのドバイ博物館、昔の人々がどのような生活をしていたかもリアルすぎる蝋人形が伝えてくれる。
これらを見ていてふと思った。これだけ文明が過剰とも思えるほど発達し、文字通りの多様な国籍の人が住んでいるのに、人々はあまり変わっていないように見える。
街でみる人々は民族衣装に身を包み、同じようなスパイスや食料品を売って、街の片隅ではかっこいいアラブなターバンを巻いた男たちが談笑している。
町で女性は観光客以外ほとんどみない。たまに見ても真っ黒で目だけしか見えない服を着ている。イスラムの教えのためなのだろうか。
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変わるものと変わらないもの。すべてが共存している国ドバイ。
あまりにも巨大なビル群の狭間に、各々の文化が生きている。
その短時間で急激に経済を成長させた大きな人の力と、人々の長く長くゆっくりと続く生活の営みのアンバランスさになんだか混乱してしまう。
(なので前回の日記はそんな感じだったのでした。)

たった数時間の滞在は、強烈な印象を心に残した。
とりあえずまた来よう。きっとまたトランジットで。
by ayakaze0109 | 2011-06-01 02:40